★★ 星ふたつ作品群

2030

NUOC / 2030

(2014-ベトナム;C-98m.)


Produced byĐặng Tâm Chánh,Nguyễn Thế Thanh,Nghiem-Minh Nguyen-Vo,Bao NguyenDirected byNghiem-Minh Nguyen-VoWritten byNghiem-Minh Nguyen-VoCinematographyBao NguyenMusic byInouk DemersStarringQuynh Hoa,Quy Binh


いや、これはきつかった。ベトナム語の映画をフランス語字幕で観たのである。ベルリン映画祭で注目されたSF映画である、そのブルーレイである、と来たし。ベトナム映画のブルーレイ買ったのは初めてである。

ストーリーは、まぁ、わかった。過去と現在とかがごっちゃになってわかりにくいんですが。が、そんなもんは、まぁ、どうでもよろしい。とにかく、この撮影を観てください、と。2030年になって天候の変化で水位が上がってしまい南ベトナムはほとんど水中に。仕方ないから人々はハウスボートで生活。土が無いから野菜は貴重品もいいところで。ここで殺人?が、起こり主人公はその謎に.....挑んでいるのかどうかもはっきりしないのだ。とにかく何もかもはっきりしなくて淡々と物語が進む、いや、進まない。こまったなぁこれどうしてくれようか、と途方に暮れる。が、景色は美しいし、主人公も美人じゃないけどなんか活き活きして美しいし。まぁ、字幕がほとんど理解できないという苦しさからかもしれないが、訳が分からないもん観たな、という気分。ベトナム製SF映画なんて貴重な時間であった、って気はするけど。


幻 土

A Land Imagined


(2019-シンガポール;C-95m.)

Produced byFran BorgiaDirected byYeo Siew Hua ヨー・シュウホァ(楊修華)Written byYeo Siew HuaCinematographyHideho Urata撮影:浦田秀穂Music byTeo Wei YongStarringPeter Yu,Luna Kwok,Liu Xiaoyi,Jack Tan

出演:ワン(リュウ・シャオイー),アシッド(イシュティアク・ジコ),ロク刑事(ピーター・ユウ),ネットカフェの女性(ルナ・クォク)

第19回東京フィルメックスで上映。いかにも映画祭受けしそうな作品である。シンガポールのとある刑事は夢を見る。そこには担当している事件で失踪中の中国人が生々しく。自分が彼になっているのだ。こういう複数構造はストーリー展開に自信がなくなった脚本が良くやる手。これだけで安っぽくなるのが判らないかな。が、舞台となるシンガポールの埋め立て地。労働者は皆海外からやってくる貧しい人々。ここでは中国人とバングラディシュ人が描かれる。過酷な肉体労働とその疲れた体を休める涼しいネットカフェ。パスポートを取り上げられて国にも帰れない労働者たち。生々しい。シンガポールの発展に寄与している海浜埋め立て産業を舞台に凄まじいリアルさで描かれる。こういう背景とかネットカフェの番をする女性とかのやりきれなさはほんとよくできていると思う。ネットカフェの女性を演じるルナ・クォクがなかなか素晴らしいので調べてみたら日本公開作もあって『凱里ブルース』(2015)で結構評価されていたらしい。これは観なくては。主演刑事の俞宏榮(ピーター・ユウ)というシンガポールの俳優もなかなか味がある。早速シンガポール女優だったの友人に訊いてみた。時代的に合ってるような気がしたから。やっぱり大昔に共演していたそうです。TVドラマで兄妹の役をやったらしい!今でも私の事を「小妹」と呼んでる、とまでの仲らしい!

惜しむらくは、よくできた雰囲気に酔うがあまりストーリーが破綻している。やっぱりもともと脚本がだめだ。

どうでも良いことだが、主人公の相棒の刑事を演じる人が、前の会社の同僚に実によく似ている。そして女子レスラーの伊藤薫にも。そもそもこの同僚と伊藤薫がとても似ていたので当然であるが。


エクソダス:神と王

Exodus: Gods and Kings

(2014-US;C-150m.)

製作ピーター・チャーニン,リドリー・スコットジェンノ・トッピング,マイケル・シェイファー,マーク・ハッファム監督リドリー・スコット

脚本アダム・クーパー,ビル・コラージュ,ジェフリー・ケイン,スティーヴン・ザイリアンアルベルト・イグレシアス撮影ダリウス・ウォルスキー

出演クリスチャン・ベール,ジョエル・エドガートン,ジョン・タトゥーロ,アーロン・ポール,ベン・メンデルソーン,シガニー・ウィーバー,ベン・キングズレー


UHDも準備したし、リドリー・スコットだし、150分もあるし。満を持して、の鑑賞だったんですが。なんかたいしたもん観た気がしないんですよねぇ。
なんだ、『十戒』のリメイクかよ。そんなもんやるだけ無駄でしょう。勝てるわけないんだから。物凄い特撮シーンがあったような気はするのだが迫力ある超大作ではあった気はするのだが、残るもんはないんですよねぇ。シガニー・ウィーバーってあんなに化けて出てきてたんだ、と。あれがそうだったのか、という驚きはあります。あれだけすごいCG特撮よりももっと印象に残った特殊メイクでした。

舞台となったエジプトでは公開禁止。自分たちの認識してる事実と違うから、と。それだって事実じゃないだろ、と思うけど(モーゼが海を二つに割った)。


アンビュランス

Ambulance(2022-US;C-136m.)

製作マイケル・ベイ,ブラッド・フラー,ジェームズ・ヴァンダービルト,ウィル・シェラック,イアン・ブライス

監督マイケル・ベイ

脚本クリス・フェダック

原作ラウリッツ・ムンク=ピーターセン『25ミニッツ』

音楽ローン・バルフ

撮影ロベルト・デ・アンジェリス

出演ジェイク・ギレンホール,ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世,エイザ・ゴンザレス


ありがちな犯罪アクションかい、と思わせて始まって人間関係がいっきに濃密になって感動的に終わると言うちょっと豪勢な作品。初めて観る人には。

元ネタとなったデンマーク映画『25ミニッツ』をマイケル・ベイ印の超大作に膨らましてある。まぁ、長くし過ぎてダラダラして緊迫感が無いのが難点だが。この救急士のネーチャンは目つきがなかなか素敵、なはず。なんとあの『ベイビー・ドライバー』のお色気ネーチャンでもあり『コングVSゴジラ』でまったく活躍しない色っぽいネーチャンを演じたエイザ・ゴンザレスなのであります。これはいいオンナで大収穫です。


『25ミニッツ』があまりにも感動的なので比べるのは酷だが、これはこれでヒットもするだろうし作った甲斐は有ったと。
ジェイク・ギレンホールは今後もこういうガサツな方に背伸びした役をやっていかないと仕方ないのかなぁ。もともとの個性も貴重だと思うのでそのままでいいと思うんだけど。

スペンサー・コンフィデンシャル

Spenser Confidential

(2020-US;C-110m.)

製作総指揮トビー・アッシャー,ビル・バナーマン,ジョン・ローガン・ピアソン

製作ニール・H・モリッツ,スティーヴン・レヴィンソン,ピーター・バーグ,マーク・ウォールバーグ

監督ピーター・バーグ

脚本ショーン・オキーフブライアン・ヘルゲランド

原作エース・アトキンス,ロバート・B・パーカー(Robert B. Parker's Wonderlandより)

音楽スティーブ・ジャブロンスキー

撮影トビアス・A・シュリッスラー

出演マーク・ウォールバーグ,ウィンストン・デューク,アラン・アーキン,コリーン・キャンプ

ま、マーク・ウォールバーグによくありがちな作品。自分で製作もやってるんだから当然か。そして、あの仲の良いお爺さんはいったい誰か、と思ったらやっぱりアラン・アーキンでしたね。この人の若者やった役なんてそういえば昔から観たこと無いよなぁ。初めて『アメリカ上陸作戦』で観た時も32歳だった。それにしても最近、同じようなジジイ役で良く見る気がします。まぁ、主人公がそんなに腕っぷしだけの男じゃなくて、ただ、ぶちのめされようとも向かっていく、ってスタイルがいかにももうマーク・ウォールバーグ。この人もへたしたら何に出ても同じように見えて同じようにしか記憶に残らない人になりそう。コリーン・キャンプにはまったく気が付きませんでした。たったあれだけじゃぁねぇ。

イキガミ

(2008-東宝:C-133m.)
監督:瀧本智行

脚本:八津弘幸,佐々木章光,瀧本智行

製作:佐々木章光,久保田修,黒沢淳

製作総指揮:濱名一哉,

音楽: 稲本響 主題歌PhilHarmoUniQue「みちしるべ」

撮影:柴主高秀

出演:松田翔太,塚本高史,成海璃子,山田孝之、風吹ジュン

漫画の映画化、は私にとってあまり意味がない。どうせ今日この頃の漫画、なんてまったく知らないからだ。これも単純に、そういう話なのか、と観始めた。まったく壮大なお話だと思う。そしてこれは仕方ないのか、オムニバスのようにエピソードの積み重ねとなる。漫画のまま?エピソードも感動的ではあるのですが、結末が欲しい、この物語。誰かこの法律を打破できるのか?これだけ長い話を見せられて。

完結編求ム。


ザ・ロストシティ

The Lost City

(2022-US;C-)

製作ライザ・チェイシン,サンドラ・ブロック,セス・ゴードン

監督アーロン・ニー,アダム・ニー

脚本デイナ・フォックス,アーロン・ニー,アダム・ニー

原案セス・ゴードン

音楽パイナー・トプラク

撮影ジョナサン・セラ

出演サンドラ・ブロック,チャニング・テイタム,ダニエル・ラドクリフ,ブラッド・ピット

古臭いお話だなぁ。70年前の脚本だろ。

まだまだ魅せます、の息も荒いサンドラ・ブロックが製作兼主演。今風に、女性向けエロを盛り込んで。チャニング・テイタムの肉体美を堪能してください、と。しかし、こいつただのバカにしか見えないのはどうしてでしょう。さらに何に出ても、大人になってもまだこんな顔してんのか、としか思われないだろうダニエル・ラドクリフ。あまりにも子供の頃が印象大き過ぎてヘンにしか感じないのだ。この人とイライジャ・ウッドは大人になった今はもう俳優やめた方がいいと思う。それが本人たちのため。大人になっても引きずるものが大き過ぎる。

この作品の拾い物は特別出演のようなブラッド・ピットだけである。コイツだけは面白い。


LEGO スター・ウォーズ パダワン・メナス

LEGO Star Wars: The Padawan Menace

(2011-US;C-30m.)

製作マーク・ソーリィ,アンバー・ナイスミス

監督デイヴィッド・スコット

脚本マイケル・プライス


カートゥーン・ネットワークにて放映。まったくいいところを捉えてると思う。SWマニアにはたいへん楽しめると思う。おさらいとしても良くできている。決して子供向けではない。が、まともに観てていいのかな、と自問自答。ま、冗談として作ってるんだからいいじゃないか、と。なんとか耐えれる長さだったとは思うが。しかし、今やSWは誰のもの、だよね。新作を次に観れるまでの数年待つのか、の頑なな時代ではない、ってこと。こんなスピン・オフとかがうじゃうじゃできてきて。夢が薄れる。

ヤーラ

Yara

(2021-Italy: C-96m.)

監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ

脚本:グラジアーノ・ディアナ ジャコモ・マルテッリ

撮影:ロベルト・フォルツァ

出演:イザベラ・ラゴネーゼ,アレッシオ・ボーニ,トマ・トラバッチ

冒頭のラジコン飛行機のシーンで、ああ、これ観たこと有る、と思ったのですが、その後が何も思い出せないので思い出すとこまで観てみるか、と。

最後まで観てしまいました。つまり冒頭以外何も記憶に残ってなかった、と。

まったく盛り上がりに欠ける一作で、登場人物にも血が通っていません。

事件も、これと言って。実話の映画化って言ってもこういうもんでいいのかなぁ。


吹雪と贄 

Ofrenda a la tormenta 

(2020-Spain*C-139m.)

Director : Fernando González Molina,

written by Luiso Berdejo and Dolores Redondo

出演: マルタ・エトゥラ、レオナルド・スバラーリャ、カルロス・リブラド・"ネネ

NETFLIXの影から見出した三部作の最後の一作。これで全部けりがつかなかったら怒るぞ。

この陰湿な一大巨編を観続けて3日目。とうとう最後までやってきました。今回なんと139分。じっくり謎解きと言うか、きちんと説明してくれ、という気分です。

第一作目から主人公の女刑事はなんか好きになれないのですが、第一作の題名にもなっている山の守り神バサジャウンが微妙に登場してきて人々を導いたりするのがいいですねぇ。

さて、横溝小説を翻訳化したような物語のスペインのベストセラーですが、土着の感覚はやっぱり外国人には感じきれないところがある様子です。これは外国人が横溝作品を読んだり観てりしても感じられないところが有るのと同じですね。

ただ、大作で金もかかってるしじっくり撮ってはいるんでしょうけど、犯人とか展開は丸わかりです。

日本でも土葬は近年全然無くなっていたわけではなく(今でもあるのかな)、実家が奄美の神社で神官の娘だった知人の女性が言ってましたが、子供の頃、ちょっと庭とか掘ったら人骨とか軽く出て来てたんで慣れた、と。これ観てまずそれを思い出しました。

まぁ、長い映画を3本やっと終わってここまでか、と。肝心の大きな謎には全然届いてないではないか。なんかこれは自分で原作まで読んで解決しろ、って事かね。翻訳は第一作しか出てないとの事。残りの二作もなんか分厚い本になりそうで嫌だなぁ。


レガシー・オブ・ボーンズ 

(2019-Spanish:C-120m.)

監督:フェルナンド・ゴンザレス・モリン

出演: マルタ・エトゥラ、カルロス・リブラド・"ネネ"、レオナルド・スバラーリャ

『バサジャウンの影 』を観てから探したバスタン渓谷3部作の第2作目。3部作ともNETFLIXで観れるはずなんだけど、この作品なんか検索して出てきたり来なかったり。出て来ても本編は始まらなかったり。これは一体どういうことか、と少しお勉強して判りました。NETFLIXの個人設定をスペイン語に変えないとスペイン原産の映画とかは観れない場合があるらしい。完全にスペイン国内需要、となっているのか?それとも字幕に日本語の設定が無い作品は日本では観れない仕組みになっているのか?とにかく。自分のアカアウント設定をスペイン語に変えたとたんに観れるようになりました。まぁ、日本語字幕は無くても英語字幕が有るので助かりました。これ、面白い事に、PC上でとあるアプリからスペイン語にしたNETFLIXを開くとこの作品でもAIが日本語字幕を生成してくれるようだ。これはこれで観てみたいので後で観る事にする。

さて、お話は第一作の続き。さらに主人公の陰惨な過去が解き明かされて目の前の事件の陰惨さにも負けていません。それどころかこの陰惨な事件に主人公もしっかり関わっていたという事で、結構重圧のかかる鑑賞である。

今回は舞台となる村に大雨が降り続けて洪水となりさらに舞台が陰気になるんですよねえ。とある登場人物がとんでもなく怖くて、これが今後もっと活躍するのか、と思うと気が重くなってきます。次に第三作も控えているのでまt、決着がつかないまま終わるつもりだな、と。サウンドデザインは前作に引き続いて大変結構。ざぁざぁ降りの雨の音がサラウンド感満点。

しかし、疲れる映画だなぁ


バサジャウンの影 

(2017-スペイン:C-128m.)

EL GUARDIAN INVISIBLE / THE INVISIBLE GUARDIAN

監督:フェルナンド・ゴンサレス・モリナ  

出演:マルタ・エトゥラ , エルビラ・ミンゲス , フランセスク・オレーリャ

配信の通りがかりに観たスペイン産のミステリー作品ですが、当たりだったようです。

そもそも原作が相当に高名だという事で製作費も相当かかってる大作ぶりでした。

さぁ、これが陰湿極まりない暗い作品なんですねぇ。事件自体が暗いだけではなくて主人公の女性刑事のおぞましい過去と絡み合って。

原作通りだとは思いますが、伏線張りまくったにしては結末が先細って思えてしまうのがこういうのに擦れてる私の正直な感想です。

ただ、音はきちんとサウンドデザインされてて見事。うちのシアターは世に出た時から代々YAMAHAのサラウンド音響だったんですがここ10年くらいDENONのずっしり音響型AVアンプに代わっていました。私にとってはその最終形とも言えるDENON110周年記念旗艦機AVC-A110をずっと使ってたのですが、音の洪水、のような力強さで押してくるのに少々疲れて来て、最近はYAMAHAのサラウンドAIってのを試してみたくなってRX-A8Aという旗艦機を導入したのです。このサラウンドAIってのは場面に合わせてサラウンドのタイプをAIが自動で判断して変えてくれるというずぼらな私には願ってもない好都合な機能です。効果も繊細で音が心地よい。だいたい、観る映画に合わせてサラウンドのタイプを選ぶ、なんて誰がやる?AV雑誌とかでは自称映像評論家が場面ごとにサラウンド効果を変えて、なんて言ってるがそんなの映画見てるんじゃなくてプロジェクターの映す画像見てるだけじゃないの?で、これもそこそこ高価な機器だったのでDENON機を下取りに出そうと思ったんですが、いや待てよ、このタイプの違う音響を同時に鳴らしたらどうなるんだ?ってAV評論家では考えつかない楽しみに思い当ってしまい、売らないでそのままシアターに残したんですね。で、二つのシステムで合計27台のスピーカーを鳴らしてみたんですが、やっぱりリモコンを右手と左手に持って音量調節、は面倒くさいのはほんと。で、DENON機は忘れてYAMAHA機で観るのが定番となりました。が、たまに、この作品のように音響が重厚な作品に当たると、DENONの重量級の音響で観たくなるんですねぇ。そしてそれは正解でした。

そして、このシリーズ、3作も映画化されているとの事です。なんだ、このすっきりしない終わりはそういう事かい、と続きの2作品を探すことにしました。さて、どうなることか。

顔のない殺人鬼

La vergine di Norimberga / Horror Castle

(1963-Italy: C-83m.)

製作マルコ・ヴィカリオ

監督アントニオ・マルゲリーティ(アンソニー・ドーソン)

脚本アンソニー・ドーソン,エドモン・T・グレビル,レナート・ヴィカリオ

音楽リズ・オルトラーニ

撮影リカルド・パロッティーニ

原作マッダレー・ナギ『La vergine di Normberga』

出演:ロッサナ・ポデスタ,ジョルジュ・リビエール,クリストファー・リー


おお、クリストファー・リーの名前につられるけど、これってロッサナ・ポデスタの転換期寸前の主演作でもあるのですね。最初のクレジットで、製作マルコ・ヴィカリオってどーんと出るので、ああ、そうか、って。ロッサナ・ポデスタ旦那!これが1963年だから二人のコンビで大ヒットする『黄金の七人』('65)の寸前なんです。それまでにもハリウッド映画に出たりお色気に出たりしてましたが。もともと絶世の美女ではあるのですが、この頃まではまだ、多少おぼこい。で、この作品、製作者の押しもあってだろうが、ロッサナ・ポデスタ出っ放しの堂々主演。って言うよりも彼女と城というか屋敷しか用意していないんですね。金のかかってない作品だなぁ。奥さんだからギャラも出してないだろうし。クリストファー・リーなんてまったくお粗末で明らかに名前売っただけ、ってのが分かります。それにしても冒頭から彼女が何かにおびえて怖がっているような場面ばっかりで、出来の悪い素人8ミリ映画のような編集のだるさ。同じようなシーンばっかりで観てるのが苦痛になってくる。あのロッサナ・ポデスタ見てるのに!まぁ、この時代にしては強烈な残酷場面もあり、ジャンルに名を残すのは分かるような気もするが。鼠に鼻かじられ姐ちゃんの特殊メイクも見事だ。お話も突然ヒトラー暗殺未遂事件になったりして、なんかやっと動きのある展開になってきたか、と思わせてまた最後まで、あたし怖いわ怖いわ芝居一本やりで終わる。原題の『ニュールンベルグの処女』ってのはなんとも内容を表していないし(だいたい処女じゃないだろ)、日本語題名の方が、まだ内容を表している珍しいケース。さすがのアンソニー・ドーソン印の作品だけあって、まぁ、こんなもんだろうよ、ですか。これ今まで観る機会なかったんで無茶苦茶期待していたからか、まぁ、大きく期待以下の作品でした。音楽リズ・オルトラーニだけがゴシック・ホラーらしからぬ勝手ないい仕事しています。サントラ盤なんかは値打ちでそうです。


スローター・ゲーム

Turkey Shoot

(1982-オーストラリア:C-93m.)

製作:アントニー・I・ギネイン · ウィリアム・フェイマン

監督:ブライアン・トレンチャード=スミス

脚本:ジョン・ジョージ · ニール・ヒックス

原案:ジョージ・シェンク · ロバート・ウィリアムズ · デヴィッド・ローレンス

出演:スティーヴ・レイルズバック,オリヴィア・ハッセー,カルメン・ダンカン、ロジャー・ウォード,ブライアン・トレンチャード=スミス


'80年代のオーストラリア映画のハチャメチャさを回顧する"Not Quite Hollywood: The Wild Untold Story of Ozploitation"ってアンソロジーがなんか面白くて、改めてこういう映画を当時浴びるように観れた私たちの幸せを感じるのです。とは言っても公開されるたびに、なんじゃこんなもんB級アクション、ってバカにして笑い飛ばして観に行かなかったのがいっぱいあって、しまった、なんかあの頃の息吹の中でちゃんと観とくべきだった、と。『マッド・ストーン』とか『チェーン・リアクション』『BMXアドベンチャー』とか。その中で特出していたのがコレ。なんだ、オリビア・ハッセーって香港だけじゃなくてオーストラリアにも出稼ぎしてたの、と。しかも監獄女囚もの。エロは担当者が別にいるので(金髪の重量級グラマー)限界までは行かないのだが、それでもオリビア・ハッセーが未遂とは言えシャワーで半裸で襲われる、ってだけでもうこの作品は勝利だ。それにして残酷度最大級だ。囚人は殴り殺されるわ焼き殺されるわ。頭は叩き割られるわ、胴体はまっぷたつになるわ、銃弾で爆薬で顔は吹っ飛ぶわ、オリビア・ハッセーがスプラッターやってたなんて!さらに『ドクター・モローの島』からそのまま来たんかい、って半獣怪人もいるし。定番ロジャー・ウォードの怪演ぶりも健在だ。『マッドマックス』そのままじゃないの。これ、メディア探して買おうかと思ったけど、某動画サイトであっさり全編が観れた。画質も最高。ただし、規制のためだろう女囚たちのシャワー・シーンは画面全部ボカシ。脱いでるのは上半身だけだと思うんだけど。監督のブライアン・トレンチャード=スミスって『スカイ・ハイ』を観ただけだったがその後にずーっと同じようなB級アクションを何十年も何十作も作り続けていたんですねぇ。えらいよなぁ。企画やアイデアの安物さはフィリピン映画といい勝負だが質はやっぱりどっか違う。うーん。このジャンルのオーストラリア映画、ちょっと続けてみようか。


ダウト 〜偽りの代償〜

Beyond a Reasonable Doubt(2009-US:C-105m.)

製作総指揮アラン・ゼマン,コートニー・ソロモン,ローラ・アイヴィ,ステファニー・ケイレブ,アーロン・レイ,マイケル・ヘルファント,ファイサル・S・M・アル・サウード,スティーヴン・サクストン

製作テッド・ハートリー,モシュ・ディアマント,マーク・ダモン

監督ピーター・ハイアムズ

脚本ピーター・ハイアムズ

原作ダグラス・モロー『条理ある疑いの彼方に』(脚本)

音楽デヴィッド・シャイア

撮影ピーター・ハイアムズ

出演ジェシー・メトカーフ,アンバー・タンブリン,マイケル・ダグラス

なんとピーター・ハイアムズの作品だとは知らずに観ましたよ。マイケル・ダグラスはどっかで見たような役しかやってないが。もともとは、フリッツ・ラング監督作品『条理ある疑いの彼方に』(1956)が原案だと言う。題材は死刑廃止から検察側の証拠でっち上げに替えているのだが。まぁ、物語になかなか無理がある上に登場人物たちに何の知性も感じられない陰謀もの。ヒロインのアンバー・タンブリンってラス・タンブリンの娘なんですってねぇ!美人じゃないけどハッとするいい顔してます。

まぁ、気の抜けたゆるゆるのサスペンスながら、最後の最後でいいとこ見せます。これで一気に点数が上がるだろう。ピーター・ハイアムズ作品に期待する観客としてはなんか足りない気はするが......

どうぜなら名前と顔を合わせたら? 


暗殺のオペラ

Strategia del ragno(1970-Italy:C-99m.)

製作ジョヴァンニ・ベルトルッチ

監督ベルナルド・ベルトルッチ

脚本ベルナルド・ベルトルッチ,マリル・パロリーニ,エドゥアルド・デ・グレゴリオ

原作ホルヘ・ルイス・ボルヘス『裏切り者と英雄のテーマ』

音楽ジュゼッペ・ヴェルディ,シェーンベルク,ミーナ

撮影ヴィットリオ・ストラーロ,フランコ・ディ・ジャコモ

出演ジュリオ・ブロージ,アリダ・ヴァリ

田舎の景色の美しい事。ヴィットリオ・ストラーロって仰々しいのよりもこういうところにも才があるんですね。1970年の作品の割には日本での公開が思いっきり遅いな(1979年)、と思ったらこれってイタリアのTV映画だったんですね。老いたアリダ・ヴァリが笑ってても怖いな、と。楳図かずおの漫画にこういう笑いの顔出てきますね。うっかり聴いたラジオ『淀川長治のラジオ名画劇場』で当然のようにストーリーを全部ばらされ たせいで衝撃も無いまま最後まで観てしまいましたが最後にひとひねり。結局、この物語は現世に実存していない村の物語ではなかったか。暗殺された魂が成仏できずに故郷の村に戻ってきて、なぜ自分が成仏できないか、を息子の姿となって解き明かしにきたのではないだろうか。だからこそ、物語の最初と最後に一緒になる海兵隊の青年も実は死んでいて、やっぱり故郷の村に魂として戻ってきてそしてまた立ち去るのではなかったか。村には老人しかいない、っていういのも納得できます。となると、やはりこれは暗殺、であったのだ。草ぼうぼうの線路からカメラがゆっくりパンするとそこには村の姿はなかった、なんて怪談で終わってほしかった気がします。

オペラのシーンでは『リゴレット』だったので自分が笑ってしまわないか心配でした。TV『おかしな2人』でオペラの回に毒されたおかげであります。『リゴレット』を聴くと笑ってしまう体質になりました。

フィアットのチンクチェントが最高に素敵に登場しますね。自動車ってのは動くために有る贅沢品で、そのためには乗る方もそれなりの苦労を強いられて当然である、という。ああ、これは欲しくなります。

おおお、『第三の男』、みたい


五人の軍隊

Un esercito di 5 uomini / Un esercito di 5 uomini.5 uomini.jpg / 5 Man Army

(1969-Italy, C-99m.)

製作イタロ・ジンガレリ

監督ドン・テイラー

脚本マーク・リチャーズ,ダリオ・アルジェント

音楽エンニオ・モリコーネ

撮影エンツォ・バルボーニ

出演ピーター・グレイブス,バッド・スペンサー,ニーノ・カステルヌオーヴォ,ジェームズ・デイリー,丹波哲郎


300円で輸入DVD発見、購入。いつか観たい、と思っていたから。もちろん、丹波哲郎が出ているからです。あ、しかもこれ脚本はまだ監督やっていない頃のダリオ・アルジェント。しかもこの音楽はどう聴いてもモリコーネだよね。ああ、やっぱし。ああ、なんて豪華なんだ。しかし、なんで監督がドン・テイラー。イタリア人にやらせなくてどうする。しかもよりによってドン・テイラー。まぁ、主演もどういうわけか、じゃなくて当時『スパイ大作戦』でイタリアにて大人気だからのピーター・グレイブス。どうしても『シェルブールの雨傘』とか『刑事』とか『若者のすべて』のような名作路線を思い出すニーノ・カステルヌーヴォもよくよく考えると『真昼の用心棒』('66)でどぎつい西部劇もやってるもんなぁ。変な髭面で面影なくて途中で気が付きました。まぁ、スパゲッティ・ウエスタン定番バッド・スペンサーが出てる分、どんな映画になるか、はちょっと想像はできたのですが。まぁ、日本人観客としては丹波哲郎の大活躍に拍手するしかないのです。出てきたとたんナイフ投げの見世物やってます。そこの貼り紙はちゃんと日本語で「手裏剣投げ」って書いてありましたがね。そして、この作品のクライマックスとも呼びたくなる丹波哲郎大活躍シーン。落ちるとこは「どわーっ」走るとこは「ぶももももー」なんて効果音が目に浮かびます。田村信の漫画ですね、これは。 なんだ、これ笑っていいのか、と考えてしまいましたが、やっぱり相当に笑えるのではないでしょうか。封切り時に劇場でほかの観客と一緒に体験したかったなぁ、と切に思います。やっぱりみんな大爆笑だったんでしょうか。それとも大拍手でしょうかね!いや、もうこのシーンだけでも観た甲斐があった、というもんで。

アルジェントの脚本も、見せ場に次ぐ見せ場、のようで実は相当大きな疑問が残るんです。どうせ砂金を積んだ列車の車輛を襲って奪うなら、もうすでに列車中を制覇しているんだからどっかで止まって奪えばいいんじゃないか。なんであんな凝ったことしてその車輛だけ切り離します?しかも車輛切り離すのにあんな凝った爆破装置いるんですか?丹波哲郎が手で金属のフック引っかけて他の車両と軽く繋いでましたぜ。しかもあんなに時間計算して大事な局面でやるのがバッド・スペンサーのあの一人仕事かい!あれ大変だろ!それよりもこんなに弱くて人数も少ない軍隊相手にするんだったら最初から正攻法で正面から列車襲って奪ってしまったら......まぁ、全篇お気楽なスパゲッティ西部劇の味は満ちていますが、やっぱり主演がピーター・グレイブスってのがどうしても変なまま終わってしまった。でもこの人背が高いんですなぇ。丹波哲郎と並ぶと2倍くらいに見えました。日本人の出ている西部劇はこの後も作られ続けますが、この丹波哲郎はまだまともな方だったんですね。日本版の封切りポスターは丹波哲郎スペシャルな味付けです。


まぁ、どう転んでも、ドン・テイラーの監督作品ですから、平均点から上は取れないよね。この作品の後も『新・猿の惑星』(1971)、『ドクター・モローの島 』('77)、『オーメン2/ダミアン 』('78),と名前を見るたびに、あーあ、ってなる作品を実力通りに撮ってくれます。最後に『ファイナル・カウントダウン 』('80)で、おお、ちょっとましになったじゃないの、と思わせてそれがキャリアの最後の作品となりましたとさ。


柔道家、中国の謎を解く

Casse-tête chinois pour le judoka

(1967-French, Italy/ C-104m./86m.)

製作ジャン・クロード・ベルジェ

監督モーリス・ラブロ

脚本ジャン・メッカート、モーリス・ラブロ

音楽アントワーヌ・デュアメル

撮影ディディエ・タロット

出演 マーク・ブリアン、マリル・トロ、マリア・ミン、ル・グラン・フェレ


本邦未公開なので原題名の日本語訳は私が勝手につけました。

どうして今更こんな無名の60年代ユーロ・スパイ映画を観ることになったか。まぁ、噂が事実であったか確かめるしかない、と。

まず、マリル・トロってこんなに細くて背が高かったんだ、と気が付く。対照的な小柄なマリア・ミンが隠れた肉感派って感じで無茶苦茶よろしいなぁ。中華版日髙のり子みたいな。まぁ、冒頭から剣道の連取風景を延々見せるんですけど、主人公は「柔道家」でしょ。欧米では柔道も剣道も一緒くたにされてた時代有りましたもんねぇ。また、judoka (柔道家)、って言葉がフランス語でもドイツ語でも存在するなんて知らなかったなぁ。

さて、お目当ての......出ましたですよ、のアンドレ・ザ・ジャイアント。ル・グラン・フェレとして出演。これって当時のリング・ネームですよね。この映画出演は後年の『プリンセス・ブライド・ストーリー』(だったかな)とかよりもっとちゃんとしてましたよ。中国人の武術家に扮しているのだ。黒髪のかつらを被っていったいこれは何者?って感じでしたね。まだうんと若くて21歳の頃。もうレスラーではあります。本名はアンドレ・レネ・ロシモフ。私たちが彼を見ていたのは1970年代の国際プロレスから。私の一番好きな彼はこの国際プロレスのモンスター・ロシモフ時代である。これは上手いレスラーだったんです!後年のように怪物ぶりを売るんじゃなくて、あくまでも巨大なヒールの外人レスラー。試合中ずっとあの図太い声で喚き続き!観客をコントロールできる試合巧者でしたよねぇ。ぶきっちょな試合運びだった国際プロレスのエースたち(小林、木村、杉山、草津)を本当に救ってましたねぇ。きちんと動けたし、うまかったよなぁ。今、国際プロの試合を見直しても、彼のうまさは際立っています。特にタッグ・マッチは絶品です。日本で一緒に来日したバーン・ガニアがそのタレントに目をつけてスカウトしてアメリカで売り出したのもわかります。このうまさを知ってると、後に新日本プロレスで単に怪物として売り出されたのが本当にもったいなかった。新日本時代に一度、フランク・バロアと一緒に新阪急ホテルから梅地下に出てきたのに遭遇したことがあるが、やっぱり突き抜けて大きいから周囲の好奇の目は凄かったなぁ。全日時代の彼はもはや体が痛々しいくらいに動かなかったけど、本来のベビーフェイスとして登場できてほんと良かったと思う。やっぱりハイライトは馬場と組んでランド・オブ・ジャイアンツ(ブレード・ブッチ・マスターズ、スカイウォーカー・ナイトロン)との対戦だろう。4人タッグで馬場が一番小さかったという史上初の試合でありました。

まぁ、これも当時のユーロ・スパイ映画らしくなかなかだるい作品ではありますが、今から考えると、当時の中国は欧州から見るとこんなもんだったのでしょう。結構本質を見抜いているのがすごい。けど、欧州人から見ると中国も日本も同じようなもんな様子。冒頭ののクレジットは日本人の延々剣道シーンですし。劇中の悪の中国組織の基地には奇天烈日本語・中国語が至る所に。「大昌ま甦岩井戸」でしょうか?もう一枚の写真では「定食士」ってのが「岩井」の横にちょこんと書かれてますね。


ウィスパーマン

The Whisper Man

(2026-US:C-116m.)

監督:ジェームズ・アッシュクロフト

製作:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ アンジェラ・ルッソ=オトストット マイケル・ディスコ カッシー・ホワイティング

製作総指揮:マーカス・ビシディ ティム・コナーズ アレックス・ルボビッチ

出演:ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・モナハン、アダム・スコット、ハミッシュ・リンクレイター、マイケル・キートン

主演がアダム・スコットじゃなかったらな、と惜しい。単に顔が嫌いなのはもうどうしようもないですね。

最初にクレジットが無いので誰が出るのか知らないまま観始めると、おお、ミシェル・モナハンが老けてる、と驚き、ロバート・デ・ニーロもやっぱり出なくて良い役で出てくるし、そして本編の最後の方まで写真でしか登場しないのですが、もう写真一枚で他を食ってるようなマイケル・キートン。いやぁ、やっぱり異常です。

物語が陰惨な割には理屈っぽく、だらだらしてた割には急展開でおいおい話が分からないよ、で終わりかい。観た人はみんなあの最後の方の話、分かってるのでしょうか?そして、このラスト、絶対に知ってるよね。観たこと有ります。ここでまたぐっと評価を下げた気がします。


カーツーム

Khartoum

(1966-GB:C-133m.)

監督ベイジル・ディアデン

脚本ロバート・アードリー

撮影ハリー・ワックスマン,エドワード・スケイフ

出演 チャールトン・ヘストン,ローレンス・オリヴィエ,アレクサンダー・ノックス,ラルフ・リチャードソン,マイケル・ホーダーン,リチャード・ジョンソン,ヒュー・ウィリアムズ,ジョニー・セッカ,ナイジェル・グリーン,ピーター・アーン


今日はスタンダードな定番大作映画を観たい気分。じゃあ今まで取りこぼしていたこれか。と。こういう史上で有名な話でもこちらはまったく知らないがためにその分どうなるのかワクワクして観れる。けど、これって本国英国ではまず知らない人はいないだろう話だから、もう作り方もそうなるのかな。しかし、この英国映画で英国の英雄の話を映画化するのに主演がチャールトン・ヘストン、って納得したのか、英国人。スタッフからキャストからもうもろに英国人ばかりなのに。まぁ、出てるだけで、ああ、大作映画だ、って誰もが思うもんねぇ。
監督がベイジル・ディアデン。軽妙な味付けが至る所にあってそれらしい映画つくりににはなっているのですが、やっぱりちょっと路線が違いますよなぁ。ガイ・ハミルトンあたりにそつなく任せたかったのではないだろうか。フランコ・コーデルの音楽はうんと盛り上がります。いい仕事してますよねぇ。サントラ盤は探さなきゃ。たしかどっかにある、これは。このジャケットで買わないわけないからねぇ。

チャールトン・ヘストンも、泣き言も出る苦悩ぶりが似合わなかったのじゃないだろうか。脇を固める英国陣がほんといいねぇ。ラルフ・リチャードソン、マイケル・ホーダーン、ナイジェル・グリーン。そして、リチャード・ジョンソンが無茶苦茶良いです。多分これがキャリアの中で一番良かったんじゃないか、と思われます。私たちは彼の晩年の『サンゲリア』『ドクター・モリスの島 フィッシュマン』『ナイト・チャイル('76年の方)』『デアボリカ』とかしか思い出さないで『ラスト・コンサート』で珍しく良い役やってるじゃないの、と言ってしまいますが、まともな役も多いんです。これくらい若い頃は眉もきりりと濃くて劉青雲みたいですよ。ああ、ローレンス・オリヴィエの事を忘れてた。忘れるよなぁ。これってピーター・セラーズがローレンス・オリヴィエ 扮装やってるのかと思った。

入場の音楽から休憩も有って休憩後の入場の音楽も有り、退場の音楽も有る。大作ですからねぇ。満腹でした?いや、物足りないな、やっぱり。最後のあのたたみかけるような終わり方とナレーションは何でしょう。この長さでこれかい。お話を何も知らずに130分余りも付き合ってきた私のこの気持ちをどうしてくれるのだ。これ、鳴り物入りで封切りで観に行って劇場から茫然自失で帰った人も多かったんじゃないでしょうか。この作品は、エピック映画が特集で語られるような時でもよく無視されているが、なんか、わかるような気がする。


冥 婚 

Ghost Wedding

2021-香港:C-87m.

導演::梁鴻華

演員:陳家樂,陳嘉桓,雨僑,羅蘭,張達明,雪梨

最近は海外の配信を見回りしてると最新作がふと観れたりします。

これはちらっと覗いてみると羅蘭の顔が見えて、さらに張達明の名前があるではないか!なのですぐ観始めました。

今日は精神的にも肉体的にもハードな一日で夕方にお風呂に入ってくたばるしかなかったので、その後の鑑賞では寝てしまう恐れもあったのですが、達明の出てる作品なら観ないわけにはいかないのです。2021年とは結構前ですね。

物語は実に鬱陶しく、これまた鬱陶しい見た目の主役でそのマジックで描いたような眉何とかしろよ、と進言してあげたくなります。

いい若者がうじうじうじうじして周りの女性に力づけられながらまだうじうじと幽霊を怖がる物語。ちらっと達明の古い写真が出てくるので、まさか出演はこれだけか!と思ったらしっかり出てきました。しかも青年メイクから90歳メイクまで七変化。最後に来日した時に渋谷のホテルでふたりでランチして以来会ってないのでもう10年くらい会ってないのかもしれません。離婚直後で落ち込んでる時で普段は基本的に車とかバカ話なのですがあの時は違いました。体調が最悪っぽいという話ばかり香港や日本の知人から入ってくるので心配なんですが。毎年誕生日だけはメッセージの交換してたんですが今年はできなかったし。だから近年の達明の真の姿がどんな風なのか判らないので、ここでの七変化のどこまでが特殊メイクなのか不明。まぁ、青年時代のは特殊メイクなのはわかりますが。

羅蘭はもうどこまでが特殊メイクなのかもわかりません。ここ30年見た目が全然変わっていないようにも思われます。

おまけとして、シドニー(雪梨)の老人姿有り。主人公の母親役で、顔は知ってるけど、誰?と思って観てました。クレジット観てびっくり。『養鬼』でその美しさで驚いて追っかけましたねぇ、もう40年以上前でしょうか。

達明の出てる部分は個人的な思い入れも有ってなかなか有意義では有りました。が、全体的にぐだぐだうじうじ同じ事を繰り返してる早送り推奨作品ではあります。配信の巻き戻しや早送りって機器によってはまったくできなかったりするんですね。今回、海外配信機器を入れ替えたのは、リモコンを確認して早送りボタンがあるものにしたかったからでした。


ハーツ・アンド・アーマー 

(1982-Italy:C-101m.)

HEARTS AND ARMOUR

監督:ジャコモ・バティアート

脚本:ジャコモ・バティアート,セルジオ・ドナティ,ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ

出演:タニア・ロバーツ,バルバラ・デ・ロッシ,リー・マクロスキー,リック・エドワーズ,

ロン・モス,ゼウディ・アラヤ,マウリツィオ・ニケッティ

この年代のイタリア史劇ってどうよ、と思いながら観たのですが、ケレン味たっぷり、美女の裸たっぷり、そして鎧大戦、と呼びたいほどの現実味の無い奇怪な鎧で登場する騎士で溢れています。なぜか侍も混じっているのですが。

タニア・ロバーツが出てる、ので観る気になったのですが、やっぱり作り手の独りよがりな世界を見せられてるだけじゃないか、って気になってきます。

101分が5時間くらいの大作に感じました。まぁ、お金のかかった大作ではあるのかなぁ。ロケーションはきちんとやっててスケール感は有ります。


声 姿なき犯罪者

On the Line

(2021-韓国:C-109m.)

監督:キム・ソン&キム・ゴク

出演:ピョン・ヨハン、キム・ムヨル、キム・ヒウォン

ここまで組織的に世界を股にかけて行われたら普通の人は振込詐欺にはもう敵わないだろう。ただ、この詐欺の基本は「家族の誰かを助ける」って意識が常に必要、という事。そういう意味では家族の結びつきを何よりも大切にする韓国や中国は格好の舞台であると思える。まぁ、私には通用しないな。しかし、今の世の中、ハッキングとかWEBでだましたりとかそういう技を持ってないと生き残れなくなってきてるのか。そして、結局、人並外れた執念と熱血を持ってでないと何も解決できない、というのは韓国映画ならでは。まぁ、情念よりも金を取り戻すんじゃ、という算段が前に出てしまう物語なのであまり感動が残るわけではない。


ハンガー 飽くなき食への道

Hunger

(2023-タイ:C-130m.)

製作総指揮 コンデート・ジャトゥランラッサミー

監督 シティシリ・モンコルシリ

原案 コンデート・ジャトゥランラッサミー, シティシリ・モンコルシリ

出演 チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、ノパチャイ・チャイヤナーム


上にスタッフやキャストの名前書いてて疲れ切った。タイの人々の名刺ってレイアウトどうなってるんだろう。

今流行りの料理うまそう映画にプラスして無名から這い上がる若きチャレンジャー、しかも女性、なんて面白そうな要素をぶち込んだ。が、ぶち込んだだけ、。もちろん、超有名店にスカウトされた無名の大衆食堂の娘コックの成り上がり物語ってのは面白そうなのだ。が、実際のビジネスの世界として、こんな簡単に自分の気分だけで店やったり、やーめた、とかできていいもだろうか。後先考えない気質が普通なのか?

130分の超大作を観せて、なんやこの終わり方?と疑問に思う。「飽くなき食への道」って邦題付けてるが、簡単に飽いとるやないの。まぁ、どうしてもヒロインの容姿が受け入れられない、って個人的な困った我儘もあるのだが。

非常宣言

EMERGENCY DECLARATION
(2022-韓国:C-141m.)

監督:ハン・ジェリム

出演:ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ナムギル、イム・シワン、キム・ソジン、パク・ヘジュン


超大作である!ソン・ガンホ、イ・ビョンホンの共演だ!何回目だ!冒頭から嫌なことが起こりそうなムード満開のパニック映画であります。犯人の陰湿さ、その犯行の絶望的な状況。面白くなる要素はいっぱいあったのだ。が、なんかどれもこれもどっかで観たことのあるキャラクターばっかりで。しかも、物語の途中まで、飛行機に乗ったのはソン・ガンホのお母さんだとばかり思ってたのだが、奥さんだったのね。そして妹だと思ったのは娘だったのね。まぁ、どうでもいいんですが。冒頭から、業界用語で「非常宣言」ってのはこういうもので、と重々しく説明が入る。ああ、これが発令されるのだな、と思いながら観るのだが、もっと早く発令しとけよ、と思わんでもない。そして、これが重要なのだが、非常宣言がなされても、何の役にも立っていないのだ。これがすべてに最優先される、って重々しい説明はなんだったのだ、と。もしかして、これ、結構ハズレな作品かもしれないぞ、と。『カサンドラ・クロス』を空に置き換えただけじゃないのか。さらにいろんな映画から、どっかで観た、ようなエピソードとかキャラクターを取って付けただけでは。と。肝心のソン・ガンホが何をやっているか、と言えば、やりそうな事をやるんですが。で、結局、結論としては、あの抗ウィルス剤はダメ、じゃなかったのではないか、と。製薬会社に乗り込んでもめるあたりで得意技ドロップ・キックを出さないとダメですね。劇中のアメリカ政府もひどいけど日本政府も極悪非道の描かれ方でしたねぇ。だいたい、普通、こういうシチュエーションだと受け入れると思うけど。自衛隊のジェット機も「近すぎて撃てませんでした」なんてあり得ないでしょう。何かと初歩的な???の残るところが多くて私にとっては感動の一作、というわけにはいかなかったですねぇ。

守護教師

동네사람들 Neighborhood

(2019-韓国:C-99m.)

製作Seo Jong-hae
監督Im Jin-sun

脚本Im Jin-sun

出演マ・ドンソク,キム・セロン,イ・サンヨプ

いったい同じようなのがいくつかるんだ、のマ・ドンソクの主演作品。けど、何観ても、いいんだよなぁ、この人。この作品はとにかく、わかりやすい。マ・ドンソクが出てきて、何を、どうするのか、が冒頭5分で分かってしまうのだ。だからといってそれが悪いんじゃなくて、マ・ドンソクの主演映画を観るのだ、と観客もどっか安心するんです。だから、何も残らない、ってのが悪いわけじゃないんです。結局、マ・ドンソクは良いのだから、いつものように。キム・セロンってこんなすっきりと背の高い美女になったんですねぇ。子どもだと思ってたのに。
まぁ、すぐに記憶からは消えそうな作品ですが。

モーターウェイ

車手
(2012-香港)監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
出演:ショーン・ユー(余文樂)、アンソニー・ウォン(黄秋生)、バービー・スー(徐熙媛) ジョシー・ホー
、シェル・イェー
ジョニー・トーがまた商売っ気たっぷりで作ったな、と軽く観始めたのですが監督がソイ・チェンであるあたりで、う、となってしまう。しまった心の準備ができてなかったぞ。このキツイ監督か。しかしこのヌルい題材では監督もいかんともしがたかったのでは。結局、暗くて何だか良く見えない画面にストレスを感じたまま終わってしまった。
さて、ここでは交通警察の身分で相当に趣味を仕事に活かしている主人公たち。ショーン・余文樂は悪い役者ではないのだ。が、あまりにも同じようなキャラクターばっかしでいつまでたっても若輩者キャラクターから抜けられない。ここではもう計ったようにアンソニー黄秋生の大先輩から運転と車の心得を授かる若者役。こうなるとなにがどうなってどうなる、って最初から最後まで予想できる作品になってしまいつまらんよ。
私もいつも旺角とか太子の一角で日本製の型遅れの車を路上でいじって楽しんでいる人たちをある種の懐かしさを持って見ているのですが、この狭い香港で車を所有するという趣味ってのは結構贅沢なんだろうね。
しかし180XをS13って呼ぶのはある意味大きく間違ってはないんだけど抵抗があるんだよね。映画の作り手には車趣味がいなかったのか?
そしてやはりここでもバービー徐熙媛の美しさに見とれる瞬間あり。やっぱりこの人は化粧映えする皮膚なんだろうね。ジョシー何もそのお見事なまでの眉毛にみとれつつ。かつて目の前数十センチで皮膚のすべすべの美しさに見とれたことはありますが。
ご当地ではこれ結構な大ヒットだったらしいけど、やっぱり普段はちまちました運転を強いられる香港のドライバーたちの鬱憤晴らしとして響いたのかねぇ。

リトル・シングス

The Little things

(2021-US:C-128m.)

製作総指揮ケヴィン・マコーミック,マイク・ドレイク

製作ジョン・リー・ハンコック,マーク・ジョンソン

監督ジョン・リー・ハンコック

脚本ジョン・リー・ハンコック

音楽トーマス・ニューマン

撮影ジョン・シュワルツマン

出演デンゼル・ワシントン,ラミ・マレック,ジャレッド・レト,クリス・バウアー

デンゼル・ワシントンは現代のシドニー・ポワチエか?誰もがふと思うと思う。でも、やっぱり違うんだよなぁ。どこか、善良でないところが内に残ってる、んだよなぁ。そして、この作品はそういう面をちゃんと活用したドラマである。連続猟奇殺人犯を追う元・名刑事の孤独の戦い、ってとこでしょうか。本来だったらぞくぞくするほど面白そうな話なのに、なんでこんなに面白くなくなるのか。猟奇事件の犯人捜しより別のものに焦点が移ったから。そのための説明的な意味不明な描写がところどころ出現。これは観客不在の作り手の我儘さ。脚本もう一度練ってから出直してきなさい、って感じ。アカデミー主演賞獲ってからすっかり有名になってしまったラミ・マレックの刑事が「なんか宗教が俺たちと違うようだ」なんてセリフが出ると彼を良く知る本国の観客はみんな笑うんでしょうか(本人は実際にコプト教徒、両親がエジプト人だから)。どんな映画に出てもアラブ系の役ばっかりだったけど(『ナイト・ミュージアム』三部作も印象的)、やっぱり以後もアラブ系の役ばっかりなんだろう。

まぁ、ちょっと残念だった一作です。なんでこんなに後味が悪いんだろうと思ったら、あの容疑者の男の性格と見かけと態度と歩き方を喋り方と......とても不快なこいつのせいなんだろう。

忘れえぬ慕情

Typhon sur Nagasaki / Printemps à Nagasaki

(1956-日・仏)
製作 高村潔,レイモン・フローマン

監督 イヴ・シャンピ

脚本 松山善三,ジャン=シャルル・タケラ,アネット・ヴァドマン,イヴ・シャンピ
音楽 木下忠司
撮影 アンリ・アルカン(撮影監督),アンリ・ティッケ,中島信雄


,先日お亡くなりになった岸恵子の追悼上映作品。『細雪』にしようか『悪魔の手毬唄』もしようかと思ってたところ、配信で通りすがりにこれに出会ったので。松竹マークの後に「長崎」と地名が出てその後に題名だったのでびっくり。長崎県とのタイアップの度合いが感じられます。岸恵子としては監督イブ・シャンピとのこの出会いが吉だったのかそうでなかったのか。著作(『私のパリ、私のフランス』)なんか読んでみると文化への入り口としてのきかっけとして尊重していたようですが。脚本のクレジットに松山善三とイブ・シャンピの名前が並ぶところが異様。主演岸恵子の後に外国勢配役クレジットはまずダニエル・ダリュー。そしてジャン・マレー。このへんが本国でも格というもんなんでしょうね。続いて野添ひとみの横にゲルト・フレーベの名前が並ぶのも異様(フルーベと表記されてました)。ちなみに野添ひとみの可愛さが尋常じゃありません。物語が始まってみると、開巻1分で主人公たちはもう恋愛状態。そこにいたるまでの経過が無く話が流れていくので、なんか駄作感が妙に感じられてきます。フランス合作なので異国情緒は必須。外国人女性による着物姿、わぁ、あはは、似合う、は当然出てきます。私はどうもこれが好きでなくて、たとえダニエル・ダリューがやろうとも『ドラゴン怒りの鉄拳』香港公開オリジナル版の芸者はだかシーンと大差無いよう思えるのです。原爆のレポを書きに来たのよ、原爆って何月何日?とかジャン・マレーが厳島神社の入り口で煙草を投げ捨てたり、長崎の家は台風で壊されてもすぐ直せるような作りになってるんだ、とかどうにも上から目線が感じられます。主要登場人物の他に同僚の山村聡もホテルのバーテンもボーイも普通にフランス語を喋るのはまぁ許しましょう。ジャン・マレー演じる登場人物がどうも好きになれなくて(髪型が嫌なだけでなくて)。スイス系ドイツ人のゲルト・フレーベ曰く、フランス男はみんなこんな感じであちこちで同時に女性を好きになってそのどれもが本気なんだ、と。フランス人監督と結婚に至った岸恵子はこれをどう考えていたんでしょうか。ジャン・マレーの踊りのシーンも初めて見ました(当時の日本の流行か、ひどい踊りです)。こんな風に人間ドラマは特に見るところなく進むのですが、クライマックスの台風シーンが凄い!暴風雨、時化!矢島信男特撮ですが金かかってます!その辺の低予算の特撮映画とは比べ物になりません!フランス語の題名も"Tyhon sur Nagasaki(『台風の長崎』)"ですからなねぇ。ここだけは満点です。

メグレと若い女の死

Maigret

(2022-仏*C-89m.)

監督 パトリス・ルコント

製作 ジャン=ルイ・リビ

原作 ジョルジュ・シムノン

脚本 パトリス・ルコント ジェローム・トネール

撮影 イブ・アンジェロ

音楽 ブリュノ・クーレ

出演 ジェラール・ドパルデュー,ジャド・ラベスト,メラニー・ベルニエ,オーロール・クレマン

そう言えば思い付きでローワン・アトキンソンが演じたメグレのDVDを何枚か買っていたはず。いったいどこでどうなったらこういう配役を思いつくんだ、と感心した結果でしたが。

パトリス・ルコントとドパルデューで今更こういうクラッシックなネタを扱う必要が有るのかねぇと思ったら本国では意外なヒットだったらしい。

しかし、若くてはつらつとしたイメージがいつまでも有るドパルデューが100キロもの体を引きずって歩くような老人の姿は寂しいものがある。とは言っても彼もこの作品の時は74歳である。

シムノンの原作は読まないまま観てしまいましたが、どこに惹かれたらよいのかわからないまま観終わってしまった。これが原作の持つ「味」なんでしょうか。

『ルシアンの青春』であのように若くてすべすべだったオーロール・クレマンが目鼻の引っ込んだ老婆77歳になっているのに衝撃を受けた事もあって、これは観ないほうが良かったかな、と。