★★★ 星みっつ作品群


アニキ・ボボ 

ANIKI BóBó

(1942-ポルトガル:B&W-71m.)

監督、脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ

撮影:アントニオ・メンデス

音楽:ジャイメ・シルヴァ・フィーリョ

出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ

70歳になってからの監督作品で知られるようになったマノエル・ド・オリヴェイラ監督の長編デビュー作品。興業的には失敗してその後干された、との事。素朴でいい作品だと思う。が、フランスで出版されたこの作品のシナリオの付録DVDで観たため、フランス語字幕でしか観れなかったので、苦しかった。大学の第二外国語でフランス語を取ってた人間とは思えないです。

このような年代でこのような内容の作品を撮っていた、って事で時代を先取りしていた、と今になってみんなで褒めまわっているが、まぁ、そんな事は気にしないで、素直に観てればよろしい。貧しい街の子供たちとそれを見守る大人のお話。小さい子供はやっぱり大人の目で見てやらないと、と。最後にクローズアップされた主人公の男の子のズタ袋から作ったカバンの文字、が気になりました。ポルトガル語の文字じゃまったくお手上げでしたので フランス語字幕からしっかり調べてみました。「私は正しい道にいます」みたいな感じですかね。うーん、いいですねぇ。


Codependent Lesbian Space Alien Seeks Same

(2011-US:B&W-76m.)

Directed by:Madeleine Olnek

Written by:Madeleine Olnek

Produced by: Madeleine Olnek,Laura Terruso,Melissa Finell,Lucy Sexton,Cynthia Fredette

Starring:Lisa Haas,Susan Ziegler,Jackie Monahan,Cynthia Kaplan


まずはこのポスターの絵柄に魅せられて。そして、この題名(→共依存のレスビアン宇宙人、似た者を探す)?なんだ、これは?そして、スチール写真の2,3枚を見て、おお、となった。なるよね。2011年のサンダンス映画祭で話題になった一作でした。'50年代の白黒SF映画のスタイルで現在のニューヨークを舞台とする。エド・ウッド的なヘタヘタ(ヘタウマではなく)描写の画面がいちいち美しい。そして、このブラックなコメディがとても感傷的な一作に昇華している。文房具屋の職員のジェーンを演じるリサ・ハースがとてもとてもとてもいいんですね。うまいとかそんなんじゃなくて(うまいんだろうけど)もう、そのまま、こんな人なんだろうな、って。そして、どんな人でもロマンスの夢と機会はあるのだ、と。この人のつつましい寂しさ、みたいなものがしみじみと出てるんです。

一見、ヘンな映画に見えるのだが、まぁ、確かにヘンですが、なんかいいもの観たなぁ、と感慨深く息をついたのです。なんか、良かったころのウッディ・アレンの映画みたいな味がありました。

ちなみにあの、目の前の相手と鼻を触りあう、ってのはローレル/ハーディのネタなんですね。

Smashing Time


(1967-GB:C-96m.)
Produced by Roy Millichip,Carlo Ponti 

Directed by Desmond Davis
Written by George Melly
Starring Rita Tushingham,Lynn Redgrave,Michael York,Veronica Carlson
Cinematography Manny Wynn
Music by John Addison

大のお気に入りのリタ・トゥシンハムの観てなかった作品。大事に大事にVHSソフトを抱え込んで何年になるんだろう。

共演は、おお、のリン・レッドグレーブ。この人もとても好きなんです!なんと言う共演!

もう60年代のロンドンの溢れる彩りとサイケさに目が回ります!音楽のジョン・アディソンもビックリ。クラッシックな楽器使いは全然無く、サイケ調音楽が楽しいです。

しかし、冒頭から驚きます。リン・レッドグレーブ、デカい。相棒のリタ・トゥシンハムがさぞかし小さいんでしょう。倍くらいあります。背の高さも横幅も。そして態度もデカい!画面の中でその骨太で筋肉の塊のような巨大さが暴れます。こういう人だったんですね。お姉さんもデカいですもんねぇ。あまりに気になったので調べてみると178cm。ちなみにお姉さんヴァネッサ。レッドグレーブは180cm。あちらは肉付きが無いのでそこまで大きく見えないんでしょうね。

筋といった筋は無いのでしょうが、もうむやみにパイ投げとか調味料の掛け合いとかフード・ファイトっぽい大暴れシーンが連続してこれがまた楽しいんです!

時代をまさに切り取ってるんでしょうねぇ!クライマックスでは当時の英国の人気シンボルとなってた人たち、の模倣、が次々登場!バルドーっぽい大スターとしてヴェロニカ・カールソン端役出演です!さすが貫禄です!クレジットも後ろの方でちょこっと出てました。

これはやはりブルーレイ登場を待ちたいですねぇ!きれいな色で観直したいです!

クレジットタイトルのアニメーションのふたりがおかしいくらい似てます! 


ELVIS

(1979-US:TVM:C-119m.)

製作総指揮:ディック・クラーク

製作:アンソニー・ローレンス

監督:ジョン・カーペンター 

脚本:アンソニー・ローレンス

撮影:ドナルド・M・モーガン

音楽:ジョー・レンゼッティ歌:ロニー・マクドウェル

出演:カート・ラッセル、シェリー・ウィンタース、パット・ヒングル、シーズン・ヒューブリー、ロバート・グレイ、メロディ・アンダーソン


カート・ラッセルがやるのか、エルビスを、なんじゃそんなもん、しかも監督がジョン・カーペンター、なんで?げ、TV映画か!なんて馬鹿にして観に行かなかったもんね。だいたい、この時のカート・ラッセルなんて、私たちはディズニー映画の健全な子供か青年、のイメージしかなかったもんね。『パニック・イン・テキサスタワー』なんて観て、ああ、子役から大成しなくてこんなのしかできなくなったんだな、くらいにしか思ってなかった。なんで今頃?しかもエルビスを演じる主役?でしたもんね。が、実はディズニー子役の前に『ヤング・ヤング・パレード』でデビューしていたなんて!エルビスに縁が有ったんですね!で、そろそろ観ようかな、なんて思うと今度はメディアもなかなか探しにくくなっていて。やぁ、なんとプリシラはシーズン・ヒューブリーが演じるんですか!意外!清楚なイメージしか無かったもんね。『ロリ・マドンナ戦争』とか。日本では実は誰でも知っている顔なんですが(資生堂のコマーシャル"ボンジュール、お目目さん")。しかもカート・ラッセルの奥さんですよね(この作品が縁で結婚、出来過ぎ!)。笑ったのはビング・ラッセル(カート・ラッセルのお父さん)が劇中でエルビスの父バーノン・プレスリーを演じています。まぁ、誰もが気になるトム・パーカー大佐は誰が演じるかと思ったらパット・ヒングル。それよりも驚いたのはエルビスの高校時代の彼女はメロディ・アンダーソン。『フラッシュ・ゴードン』とかの寸前なので初々しい。さて、物語は、誰が作っても、こう展開してこう焦点を当てて、になるしかないので早いもん勝ちか。そうなるとこれはなかなかタイムリーな企画だったようだ。いろんな賞にもノミネートされてカート・ラッセル復活作品となったんだね。ジョン・カーペンターと縁ができたのがのちのキャリアにはよろしかったようで。ジョン・カーペンターも『要塞警察』(76)は佳作だなぁと感心したけど、それまでの『ダーク・スター』(74)にしたって続く『ハロウィン』(78)、『ザ・フォッグ』(80)にしても「音楽をちゃんと自分でやるのは偉いけど、なんでみんなそんな騒ぐんだ。全然怖くないじゃないか」くらいにしか感じられなかった。この後の『ニューヨーク1997』(81)で、ああ、またカート・ラッセル、こんなタフガイ路線でやったんだ、と少し感心。そしてその次の『遊星からの物体X』(82)でぶっ飛んだもんね。こうして並べてみてもこれがダントツの大傑作になりました。カート・ラッセルもこれがあったから生き残れたんですね。しかし、これの後が『クリスティーン』(83)ってガラガラ崩れてあとはもう語らなくても良い作品ばかりになってしまった。この作品は監督としてはあまり個性は無かったな、と思う。そして、考え込むのだ。カート・ラッセルのエルビス扮装も動きもものすごく頑張ってると思う。歌を吹き替えたロニー・マクドウェルもエルビスそっくりです。でも、みんなで寄ってたかってそっくりさんショーをやるのが正解なのか。そりゃ、そっくりじゃなかったら叩かれるだけだし。ここが、こういう実録物の難しい瀬戸際なのだ。オリジナリティーを重要視するのか、似てる事を重要視するのか。この作品ではほぼ何も考えないで後者を選んでいる。じゃあ、いくらそこでカート・ラッセルのパフォーマンスが優れていたとしても、所詮はまたエルビスの本物を思い出して見たくなるだけなのだ。なぜ、見たくなる?それは、今見たのものが本物のエルビスじゃないから。だとしたら、なぜ、これを観る必要があるのか?先日、『エルビス』(2022)を観た時もこれに陥った気がする。でもやっぱりこういうものに観客が引き寄せられていくのは「ケミカル」なんでしょうね。エルビスのケミカルに反応する観客が吸い寄せられるんでしょう。エルビスは、それが、まず有る。この作品は他にもシェリー・ウィンタースがエルビス母グラディスを主役を食わないように手加減して演じています。ナタリー・ウッド役のコがなんか少し似ていてよろしい。そう言えばエルビスとナタリー・ウッドは短期間の交際が有って『ウエストサイド物語』もエルビスが出る予定だったんですってね(大佐が反対して実現せず)。まぁ、パフォーマンス場面を除けば、平坦なTV映画らしいだるさだったと思う。黙ってられたら絶対にジョン・カーペンター監督作品とはわかりません。日本劇場公開は『ザ・シンガー』なんてエルビス色は薄められて。エルビス、じゃあ食っていけない、そんな国なのさ。

セブン・シスターズ

What Happened to Monda / Seven Sisters

(2017-GB: C-123m.)

製作総指揮 ティエリー・デミシェル,ガイ・ストーデル

製作 ラファエラ・デ・ラウレンティス,ファブリス・ジャンフェルミ

,フィリップ・ルスレ

監督 トミー・ウィルコラ
脚本 マックス・ボトキン,ケリー・ウィリアムソン
音楽 クリスティアン・ヴィーベ
撮影 ホセ・ダビ・モンテーロ

出演者 ノオミ・ラパス,グレン・クローズ,ウィレム・デフォー

原題名は二通りあって、そのどちらもが中身を示してしまうので知らない人は知らないまま見てしまうのが幸せでしょう。私は映画擦れしててこういう作品に関しては勘が効くので題名で一発で展開が判ってしまい興ざめもいいとこ。

どこの国、とは言ってませんが欧州と言ってましたし、まぁ、英国なんでしょうねぇ。グレン・クローズとかウィレム・デフォーとかもろにアメリカ人出演者ですが。それにしても主演のノオミ・ラパスは儲け役というかなんと言うか!露出という意味ではこんな役者冥利に尽きる役柄はないでしょう。名前はともかく、その良く知ってる顔はどこで見たんだか......後で調べて判りましたが。

ちょっと前の中国では笑って観てられない話だったでしょう。私も笑って観てたわけではありませんが。中国では貧しい地区で黒孩子とか黒戸、がなぜ存在するのかを知ってて観るとその分、ずんと重くなります。さらに思い出したのですが、かつて知り合いの中国女性が腹が痛いのが治らない、と言うので一緒に医者に行った事がありました。医者が言うには、腹の中にダイアフラム(避妊用具)が入れてあるのだがこれが金属製で古くなって錆びて周りの肉が炎症を起こしている。もうがっちり肉が回り込んでいて大掛かりな開腹しないと取り出せない、と。こんなものを金属で作ってる神経を疑う、との事でした。本人に訊くと、当時は一人っ子政策の時だったので一人産んだ後に女性はみんなこれを入れられた、との事でした。怖いです。この映画と何が違う?

ショッキングな描写も連続し、ある意味医学スリラー的な興味も有るのですが、最後にグレン・クローズが言ってた言葉は実は真理であって、この作品の中で一番正しかったのは彼女ではなかったか、とぞっとさせるところがあります。



フェノメナス

Phenomena (2023-Spanish: C-93m.)

監督 カルロス・セロン

脚本 フェルナンド・ナバーロ、マルタ・ブチャカ

出演 ベレン・ルエダ ,グラシア・オラヨ,トニ・アコスタ,エミリオ・グティエレス・カバ,ミレン・イバルグレン


実話を元にして、というのが売り物。心霊対策が本業の3人の女性+神父のチームの物語。それがぴちぴちの美女たちじゃなくて、一癖も二癖も有る老女たちのトリオ、ってのが珍しく新鮮。これがどれもが憎まれ口叩きながら煙草ばっかり吸って不健全そのもので、なんか凄い婆さんたちなのです。陰惨な舞台で豪雨で建物の中には雨漏りでじゃばじゃば水が入ってきて、さらに撮影が陰気な色合いでほんと独特のムードあるんですよね。今どきの映画の画面じゃないのがいい感じ。でも音声はドルビー・アトモスと最新鋭。ま、お化け退治お話よりもこの3人のやり取りや微妙な心の繋がりみたいなのが実にうまくて、ああ、いい映画観たんだ、って気にさせます。スペイン製のホラーってここ20年くらい安定してていいものが良く出てきます。